レジ袋が有料化されてから数年が経ちました。
エコバッグを持ち歩く習慣もすっかり根付いたのではないでしょうか。
スーパーマーケットなどに行くと、レジ袋は大体3〜5円ぐらいの価格で販売されています。
しかし、なかにはレジ袋を無料でつけてくれるお店も存在します。
有料のはずなのに無料で貰って大丈夫だろうか?と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、条件によっては問題ないのです。
この記事では、レジ袋有料化の制度や役立つ知識について分かりやすく解説いたします。
レジ袋有料化について
レジ袋有料化は、「容器包装リサイクル法」の中で定められています。2020年7月1日から小売事業を行う際、レジ袋の有料化が必須とされました。
対象となる事業者は、プラスチック製買物袋を扱う小売業を営むすべての事業者です。
小売業がメインでなくとも、一部でも小売業を営んでいれば対象になります。
屋台やフリーマーケットなど継続的ではなく、事業ではないお店は対象外となり得ます。
また、1枚1円未満の価格に設定することは有料化として認められませんので注意が必要です。
罰則について
容器包装リサイクル法に背き、義務違反が発覚した場合、行政からの指導が入ります。事業者名が公開される可能性もあります。
また、悪質な義務違反の場合、罰金が課せられます。
対象にならない袋
レジ袋を有料にしなくてもよい条件もあります。あくまで「有料にしなくてよい」なので、条件が当てはまっていても有料レジ袋として販売しても問題ありません。
厚みが50マイクロメートル以上の袋
厚みがあり繰り返し使用できるとみなされているため、レジ袋の過剰消費を減らすことができます。
袋にフィルムの厚さが50マイクロメートル以上であること、繰り返しの使用を推奨する表示が必要になります。
海洋生分解性プラスチックの配合率が100%の袋
海に流れてしまっても分解されるプラスチックのため、海洋プラスチックごみ問題の解決につながります。
海洋生分解性プラスチックの配合率100%であること、海洋生分解性プラスチックであるという認定・認証の表示が必要になります。
バイオマス素材の配合率が25%以上の袋
植物由来の袋と認められ、地球温暖化対策になります。
バイオマス素材の配合率が25%以上であること、認定・認証の表示が必要になります。
その他
持ち手のないプラスチック袋や紙袋、布袋は対象になりません。
また判断のポイントとして他には、袋の中身が商品であるかどうか、消費者が自体できるかどうかもあります。
中身が景品や試供品、袋が商品の一部となっていたり、別の法律で定められたものであれば対象とならない可能性があるので事前に確認しておきましょう。
なぜ有料化になったの?
環境問題
海洋プラスチックごみ問題や地球温暖化問題など、プラスチックが関係する環境問題の改善がレジ袋有料化の背景にあります。
海にいる哺乳類や鳥といった生物が餌として間違えてプラスチックごみを食べてしまうという悲しい事例も実際に起こっています。
マイクロプラスチックであれば魚も食べてしまう可能性があり、さらにその魚を人間が食べることによって人体に何かしらの影響が起きるのではないかという懸念もあります。
世界のレジ袋事情
日本以外の国においてもレジ袋が有料化されていたり、規制されている国があります。
フランスやカメルーンは使用禁止、韓国やスウェーデンは有料化、デンマークやアイスランドは課税というように国によって様々な制度があります。
例に挙げた国以外も制度を設けている国はたくさんあるため、世界でも注目されている法律なのです。
レジ袋有料化の効果
漂着ごみについて
環境省の海洋ごみ実態把握調査によって、日本全国で漂着したごみの量が発表されています。
令和2年度の漂着ごみ品目上位10種(全国、必須項目、個数ベース)の中にもプラスチックごみは入ってきます。
1位のカキ養殖用まめ菅(長さ1.5m)は25,377個で全体の18.4%、2位の飲料用(ペットボトル)は16,241個で11.8%、3位のボトルのキャップ・フタは12,846個で9.3%です。
6位のプラスチックその他は7,523個で5.5%、8位のポリ袋(不透明・透明)は6,429個で4.7%となっています。
全国各地にこういったプラスチックごみが流れ着いているため、海に漂うごみはかなり多いのではないでしょうか。
エコバックの環境負荷
レジ袋を使う代わりにエコバッグを使う人も増えたと思いますが、実際にその効果はあるのでしょうか。
エコバッグの材料にもプラスチックは使われています。
そのため、エコバッグを数回使っただけで廃棄してしまうとレジ袋を廃棄するよりも環境に負荷がかかってしまうのです。
一度買ったエコバッグを長い間使い続けることが大切です。
実際にレジ袋使用量は減ったの?
環境省によると、スーパーマーケットにおけるレジ袋の辞退率は有料化前の約57%に対し、有料化後で約80%となっています。
また、ドラッグストアにおけるレジ袋の使用枚数は有料化前で約33億枚、有料化後で約5億枚と大幅に減少しています。
以上の結果から、実際にレジ袋使用量は減っているといえます。
ただ、日本のプラスチックごみの量は約900万トンとされていて、レジ袋の占める割合は2〜3%です。
レジ袋の使用量が減ったからといって、プラスチックごみが大幅に減るわけではないということは覚えておきましょう。
実環境問題に意識を向ける
プラスチックごみの問題を大幅に解決できるわけではありませんが、レジ袋が有料化することによって私たちの環境に対する意識が変わります。
レジ袋の代わりにエコバッグを使ってプラスチックごみを減らしてみようという気持ちから、レジ袋以外のプラスチックごみにも目を向けることが大切です。
まずは身近でできることから、環境にやさしい行動を心がけていきましょう。
さいごに
レジ袋有料化になって数年が経ち、環境のことを考える機会も増えました。
またレジ袋以外にも、プラスチック製スプーンやストローなど特定プラスチック使用製品12品目を対象とした「プラスチック資源循環法」もあります。
ファストフード店で紙ストローが提供されたり、ホテルの部屋にアメニティが置いてなかったりと、生活の中で環境に配慮した取り組みを体験するようになりました。
制度に基づいた取り組みを受動的に行うだけでなく、私たち一人ひとりが環境に対して何ができるか考え積極的に行動していくことが求められています。
まとめ
レジ袋は有料?無料?レジ袋の有料化について制度や役立つ知識を解説いたします
容器包装リサイクル法によって小売事業を行う際、レジ袋の有料化が必須となりました。
レジ袋有料化の対象者は、プラスチック製買物袋を扱う小売業を営むすべての事業者です。小売業がメインでなくとも、一部でも小売業を営んでいれば対象になります。レジ袋有料化をきっかけとして、環境問題に目を向け、他にも環境に配慮した行動を行うことが求められています。
キーワード
- 海洋生分解性プラスチック
- バイオマス素材
- エコバッグ