ここ最近、さまざまな形態の飲料(ドリンク)をスーパーマーケットなどお店で見かけるようになりました。
消費者の価値観の変化に伴い飲料の選択肢も多様化し、飲料市場はいま転換期を迎えているのではないでしょうか。
この記事では、人気のある飲料のカテゴリーやトレンドの背景、注目されるキーワードなど変化する飲料市場に関する役立つ情報をご紹介します。
人気のある飲料
カフェインレス・デカフェ飲料
カフェインが苦手な方や、夜でも気にせずに楽しむことのできるカフェインを抑えた飲み物が人気です。
特に睡眠の質を意識する人や妊娠・授乳中の女性を中心に、カフェインレス・デカフェコーヒやティーが人気を博しています。
カフェインレスとは、カフェイン含有量が少ないものを指します。カフェインが全く含まれていないということではなく、コーヒーの場合カフェインが90%以上取り除いたものを指すなど基準が定められています。
デカフェは、カフェインを取り除いたものを指します。こちらもカフェインが全く含まれていないということではなく、カフェインレスと同様に基準値のカフェインが取り除かれたものになります。カフェインレスとほとんど同様の呼び方といえます。
最近はカフェインを含んだものと味も香りも遜色がないため、あえて選ぶ存在にもなってきています。
ノンアルコール・低アルコール飲料
あえて飲まないという考え方も広がり、ノンアルコールビールやノンアルコールカクテルのバリエーションが増加しています。
また、アルコール分0.5%のビールやアルコール分3%のワインなど、従来のアルコール含有量よりも少ない低アルコール飲料も増えています。
お酒を飲みたいけど翌日への影響が気になる、お酒に弱いけど飲みたい、健康にも気をつけたいなどさまざまな価値観にはまり、その市場が伸びています。
クラフト系や発酵ベースの商品もあり、こだわりのお酒を楽しむこともできます。
無糖・ゼロカロリー・低脂質飲料
健康志向の定番とも言える無糖・ゼロカロリー・低脂質カテゴリーも、新しい形態へと変化をしています。
例えば、人工甘味料に対する不安をなくすために天然由来の甘味料を使用したゼロシュガーや、満足感をより強めることのできる低カロリー炭酸水などが注目されています。
糖質制限をしている人やダイエットをしている人でも気軽に飲むことのできるジャンルとして定番になっています。
機能性・ウェルネス飲料
飲むだけで健康をサポートしてくれる飲料も人気があります。
例えば、プロテイン入り、整腸作用、美肌サポート、リラックス効果など、さまざまな目的に合わせた商品が展開されており、ジム帰りや仕事中のリフレッシュにも適しています。
機能性食品表示というエビデンスを確認できる商品も増えているため、信用できる安心感が購入の後押しにもなります。
プラントベース・オーガニック飲料
環境への配慮や動物性素材を避けたいという意識から、アーモンドミルクやオーツミルク、オーガニックティーといった植物性・自然由来の飲料も注目を浴びています。
もちろん体にやさしいという観点もありますが、それだけでなくサステナブルな暮らしをするための選択肢としても支持されています。
こちらのカテゴリーもさまざまなお店で見かけるようになりました。
トレンドの背景
こうした付加価値の高い飲料がトレンドになっているのも、いくつかの要因が絡み合っています。
ここでは、その要因、背景について詳しく解説します。
健康志向の高まり
ここ最近、特にコロナ禍以降、人々の健康意識が全体的に高まっています。
飲料は食事・運動・睡眠など生活全般に関わっているため、糖分を減らす、カフェインを抑える、栄養補助など健康の視点で選ばれる傾向が強くなりました。
また、日常から体調を整えたり、病気になってから治療ではなく病気になる前の予防を行うという意識も高まっています。
体に取り込む飲料を健康的なものにしたいというニーズは、ごく当たり前になっているのではないでしょうか。
価値観の多様化
飲めるかより、どうありたいかという価値観も重要視されるようになってきました。
これまでは飲酒できる状況か、スポーツ後に飲むなど機能で選択されることが多くありましたが、最近はフェムケアやセルフブランディングなど「飲める飲めない」よりも「こういう自分でありたい」という観点が飲料にもと入れられています。
そのため、飲料でもストーリーを感じられるようなブランディングがされた商品も増えています。
ライフスタイルの変化
ライフスタイルの変化によって飲料のニーズも変化しています。
現代の生活はより多様で流動的になったため、それぞれの場面にあった飲料が求められるようになっています。
例えばリモートワーク中では、集中力アップや眠気対策といった役割が求められます。仕事終わりにはリラックス効果やストレス緩和が求められます。
いまやいつでも同じものを飲むというより、時間や気分、目的に合わせて選ぶライフスタイルを彩る一つの手段になっているのではないでしょうか。
Z世代を中心に重視される方向性
無理しない健康
ストイックな健康志向よりゆるく日常的に気をつける健康志向が特徴で、糖質ゼロでなければいけない、カロリー制限を完璧にするといったストイックなものとはまた異なります。
そのため、カフェインレスで夜でも飲める安心感、低糖質で普段よりちょっと意識してみる、プロテイン飲料で美味しくタンパク質もとれるなど、頑張らなくても続けられる習慣が人気です。
健康にいいことを生活に自然に取り入れていくというのが、若い世代を中心に重視されている健康観です。
共感・ストーリー
なぜその飲料を飲むのかという価値観や選択も重視されています。
例えば、地元農家の野菜や果物を原料に使用している、女性開発者が自らの悩みをもとに開発した、地球環境に貢献できるなど、その飲料を飲むことで得られる付加価値に心が動くのです。
価格や量だけでなく、共感できるものを選ぶといのは飲料に限った話ではありませんね。
サステナビリティ
環境に貢献できる、サステナブルな選択が好まれる傾向にあります。
例えば、リサイクル素材を使ったボトル、プラントベース素材の使用、生分解性パッケージなどが挙げられます。
単なるエコ意識だけでなく、「こういう商品を選ぶ自分でありたいというアイデンティティと結びついた消費者行動ともいえます。
選択性
選べること自体に価値を感じる傾向もあります。
実際に、味のバリエーション、栄養成分の選択肢が多い、飲むタイミングなど選択性を持たせた商品展開も増えています。
また、気分に応じた飲料選びも定着しており、複数の商品を飲み分けるスタイルが当たり前になっています。
飲料に関する注目されているキーワード
ソバーキュリアス
ソバーキュリアスとは、あえてお酒を飲まないライフスタイルを選ぶ人々を意味します。飲めないではなく、飲まないことを積極的に選ぶという考え方になります。
健康意識の高まり、メンタル面への配慮、パフォーマンス低下の防止、飲み会にはアルコールがつきものという風潮からの脱却など、様々な要因で注目されるようになりました。
クラフトノンアルコールビールやボタニカルスピリッツなど、こだわりの商品の展開も増えています。また、ノンアルコール専門のバーがオープンするなど、ノンアルも文化として定着をしています。
機能性表示食品
機能性表示食品とは、科学的根拠をもとに健康機能を表示できる食品のことです。
例えば、脂肪の吸収を抑える、血圧を下げる・正常化する、睡眠の質を高める、目の健康を保つなどの効果が挙げられます。
根拠は国に提出する必要があり、提出された根拠は確認することができるため安心して購入することができます。
昨今の健康意識の高まりもあり、機能性表示食品の市場は広がりを見せています。
サステナブル包装
飲み物そのものだけでなく、包装も購入の選択肢に入るようになりました。
主なトレンドとして、脱プラスチック、リユース・リフィル、ミニマル、カーボンオフセット表示などがあります。
海洋プラスチックゴミに対する配慮など使用素材に明確な意図があったり、視覚的にサステナブルであることが伝わると、より共感を得られやすくなります。
その飲料を選ぶことが社会貢献につながるという物語性がとても重要です。
まとめ
変化する飲料市場、トレンドや注目のキーワードなどをご紹介します
さまざまな形態の飲料が増え、飲料市場はいま転換期を迎えています。
人気のある飲料として、カフェインレス・デカフェ飲料、ノンアルコール・低アルコール飲料、無糖・ゼロカロリー・低脂質飲料、機能性・ウェルネス飲料、プラントベース・オーガニック飲料などが挙げられます。健康志向の高まりや価値観の多様化など、最近のライフスタイルの変化がこうしたトレンドを巻き起こしています。
キーワード
- カフェインレス・デカフェ
- 機能性表示食品
- ソバーキュリアス