2023.12.15

共同配送とは?メリット・デメリットを理解し、2024年問題に向けて私たちができる取り組みを考えましょう

ここ最近、「共同配送」という言葉を耳にすることが多くなりました。

実際に大手企業などが他社と配送を共同で行うという取り組みは増えてきています。物流を共有することで人手不足解消やコスト削減など、課題解決をする効果に期待ができるからです。

この記事では2024年問題と関わりのある共同配送について、メリットやデメリットなど役立つ情報を解説いたします。

共同配送とは?

共同配送とは複数の荷主が、荷物を一緒の車両で同じ配送先へ運ぶことをいいます。

例えば3つの企業があるとして、通常では各社それぞれで運ぶため合計で3人のドライバーと3台のトラックが必要です。

共同配送の場合、1人のドライバーと1台のトラックで3社の荷物を一緒に運ぶため人も車両も台数を減らすことができます。

共同配送の説明イラスト

このように物流をスマートにできれば、人手不足や物流費の削減をすることができます。

競合他社同士はもちろん、業種の違う企業同士でも共同配送は可能です。

なぜ共同配送が注目されているのか

共同配送が注目される大きな理由として、2024年問題があります。

2024年問題とは物流業界が抱える課題で、働き方改革で定められたドライバーの労働時間上限によって引き起こされる問題です。

労働時間の上限は960時間になり、対策を打たないと2024年に14%*、2030年には34%*の輸送力低下が起こると言われています。

輸送力の低下が起こると物が運べない、物が運べなければ物が作れない・販売できないという事態も起こります。

こうした2024年問題による物流・流通業界のピンチ乗り越えるためにも共同配送に注目が集まっています。

*数値の参考…消費者庁『物流の「2024年問題」と「送料無料」表示について』
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_policy/other/free_shipping/index.html

共同配送の仕組み

共同配送は路線便とも仕組みが違います。

路線便の場合、1台の車両に複数の荷主の荷物を積み、それぞれの配送先へ届けるという流れになります。どの荷物と混載させるか、どの配送先を通るか荷主が指定することはできません。

共同配送の場合、1台の車両に複数の荷主の荷物を積み、全て同じ配送先へ届けるという流れになります。混載させる荷物も決めることができ、配送先が複数になることもありますが全て荷主が指定できます。

配送センター集約方式

配送センター集約方式のイラスト

荷物を全て同じトラックにまとめるため、各荷主の荷物を一度配送センターに集めます。

配送センターは、DCと呼ばれるDistribution Center(在庫型センター)かTCと呼ばれるTransfer Center(通過型センター)のどちらかになります。

配送センターに一度集約することで、同じ場所で同じ行き先の荷物を積み込めるため輸送費削減や時間の効率化になります。

ミルクラン方式

ミルクラン方式のイラスト

共同配送ではミルクランと呼ばれる配送を行うこともあります。

ミルクランとは、各荷主の元を巡回するように荷物を集めて最終的に一つの配送先へ届ける配送方法のことです。

ミルクランという名前は、牛乳の業者が工場で加工する牛乳を集めるために1台の車両で各酪農家を回って運んでいることに由来します。

共同配送のメリット

コスト削減

共同配送をすることで輸送費や人件費などコストを削減することができます。

各メーカーがそれぞれ1個別でトラックを走らせるよりお互いに協力してトラックの台数を減らすことができれば、大幅に物流費を削減できることは間違いありません。

ユーティリティ費用はじめ様々なコストの価格が上昇しているいま、コスト削減をするために共同配送は強力な打ち手です。

環境配慮

トラックの台数が減れば、それだけ排出される排気ガスは少なくなります。CO2の排出量が少なくなれば環境にかかる負荷も軽くなります。

共同配送は物流の問題を解決するだけではなく、環境問題という生活に関わる問題にも効果がある配送方法なのです。

人手不足解消

物流業界では人手不足も大きな問題になっています

少子高齢化に伴う働き手の減少、ECなど物流が必要な市場の拡大を受けドライバーの数が足りないという声が上がっています。

共同配送により、必要な車両の台数を減らすことができれば必要なドライバーの数も同時に減ることになるため人手不足解消につながります。

共同配送のデメリット

荷物の管理が難しくなる

他社の荷物と混載するため荷物の管理は難しくなります。

自社独自の管理システムを使っていたのであれば、配送の追跡をするために他社とシステムを連携させるのは一筋縄ではいきませんし、新しく共同のシステムを作る必要もあるかもしれません。

また商品のサイズによっては大きすぎて共同配送できなかったり、温度管理が疎かにならないように注意しなければなりません。

臨機応変な対応が難しくなる

共同で配送を行うと、イレギュラーが発生しても荷物の追加や時間変更が難しくなります。複数の荷主の荷物を積載しているため、スケジュール変更は難しくなります。

加えて複数の配送先がある場合は効率的なルートを組むため配送の計画を変えることは困難になります。

流通・物流の課題を解決するために

シェアする時代へ

2024年問題や人手不足、あらゆるコストの上昇など流通・物流業界が直面している課題はかなりハードなものになっています。

こうした課題を解決するためにも競合他社や他企業とノウハウをシェアすることも大切です。

特に共同配送は実現しやすい課題の解決策です。大手小売企業も実証実験を行うなど物流の問題をなくすために大きな期待がされています。

自社だけでどうにかしようとするのではなく、他者と一緒に課題を解決していくという方法も当たり前になりつつあります。

共同配送だけでなく共同仕入もおすすめです

共同配送は物流に関連するコスト削減などが実現可能ですが、共同仕入は事業で使用する資材消耗品や商品などのコストを削減することができます。

取り扱うロットも増えるため安定供給にもつながります。

また仕入だけでなく商品開発も共同で行うことができれば、それぞれのノウハウの共有による強力な商品の開発・育成や各企業の成長に期待できます。

変化が早く、先行きが読めない時代こそノウハウをシェアして共存していくことが大切ではないでしょうか。

まとめ

共同配送とは?メリット・デメリットを理解し、2024年問題に向けて私たちができる取り組みを考えましょう

物流を共有することで人手不足解消やコスト削減など、課題解決をする効果に期待ができます。

共同配送とは複数の荷主が、荷物を一緒の車両で同じ配送先へ運ぶことをいいます。センターに集約してから運ぶ方式、各荷主の元を回り荷物を集めてから運ぶ方式があります。共同配送には、コスト削減・環境配慮・人手不足解消など、様々なメリットがあります。

キーワード

  • 2024年問題
  • 共同配送
  • 共同仕入