2025.09.05

流通とは?基本的な機能から課題・最新トレンドまでを徹底解説

私たちの生活は、買い物やサービスの利用を通じて「流通」と深い関わりがあります。

スーパーマーケットなどのお店で購入する商品、ネットでの翌日配送、キャッシュレスの決済機能など、その全てが流通の仕組みに支えられているのです。

この記事では、流通の基本や役割、機能、そして課題やその解決策、最新トレンドまでをわかりやすく解説していきます。 

流通とは?

流通とは、商品やサービスが生産者から消費者へと移動していく一連の過程のことです。ただ単にモノを運ぶことだけではなく、売買・情報・お金など多様なやり取りが含まれています。

流通は大きく、商流・物流に分けることができます。商流は、商品やサービスの売買に関する流れであり、契約・情報のやり取りも含まれます。物流は、商品を物理的に動かす仕組みのことで、輸送・保管・在庫管理などが含まれます。

さらに現代社会ではこれらに加え、金融や情報伝達といった要素も重要な役割を果たしています。

流通の4つの機能

街中を走るトラック

取引機能

取引機能とは、商品の売買やサービスの契約を成立させる機能のことです。生産者と消費者の間には価格調整や条件の交渉があり、これを仲介するのが流通業者です。

例えば、卸売業者は大量仕入れを行い、小売業者に小口で販売します。小売業者はその小口で仕入れたものをさらに1個単位にして消費者へ販売します。

取引機能は需要と供給を満たすための根幹の役割を果たしていると言えます。

物的機能

物的機能は、商品を実際に動かす役割です。輸送、保管、在庫管理などが含まれていて、物流センターでの在庫管理、コンビニへの共同配送などがその例です。

消費者が必要な時に必要な商品をすぐに入手できるのは、この物的機能があるおかげです。

金融機能

金融機能は、商品取引に伴うお金の流れを支える機能です。

決済や与信、売掛買掛などが含まれていて、流通業者が間に立つことで取引を円滑に進めることができます。

例えば、小売業者が商品を仕入れる際、支払いを分割にすることができるのは金融機能のおかげです。この仕組みによって生産者・卸売・小売・消費者の間で資金繰りが安定します。

情報伝達機能

情報伝達機能は、生産者と消費者の間でニーズや市場動向をやり取りする機能です。

POSでの販売データ管理や消費者からのフィードバックも情報伝達機能です。この情報が流通を通じて生産者に伝わることで、新商品の開発や供給量の調整が可能になります。

最近ではAIやビッグデータが情報伝達をより高度化し、より精度の高い需要予測やマーケティングが行えるようになってきました。

流通の役割

商品を在庫する倉庫

生産者と消費者をつなぐ橋渡し

流通は生産者が作った商品を消費者に届ける橋渡しの役割を担います。

例えば、農家が作った野菜がスーパーマーケットに並ぶまでには、生産・集荷・輸送・市場での取引・小売店への配送といった流れが組まれます。

流通がなければ生産者は販売の機会がなくなり、消費者は商品を購入することができなくなってしまいます。

付加価値の創出

流通は単にモノを運ぶだけでなく、時間・場所・所有の3つの効用を生み出すことで付加価値を生み出します。

例えば冷蔵配送は生鮮食品を長期保存可能にし、ECサイトは自宅にいながら商品を購入できるという利便性を実現しました。

所有の場合では、消費者が商品を購入して利用できる権利を得ることであり、これも流通によって実現されています。

一連の流れ

流通は、取引・物流・金融・情報が組み合わさった総合的なシステムです。

商品の製造から消費までの一連の流れを円滑にすることで、社会全体の経済活動を支えることができます。

例えば、メーカーが計画通りに生産を行えるのは流通が整っているおかげであり、原材料の仕入れ、商品の在庫、販売動向のチェックなどが欠かさず行われているからです。

流通が抱える課題

課題に悩む女性

人手不足と高齢化

物流や小売業の現場では人手不足が続いています。

トラックドライバーの平均年齢は40代後半に達していて高齢化が進んでいます。倉庫の作業員も同様で、長時間労働や負担の増加が避けられません。結果として配送サービスの低下が起きやすくなっています。

さらに2024年問題、2030年問題は物流業界が抱える大きな問題であり、流通全体に大きな影響を与えることが懸念されています。

コスト上昇

燃料費や電気代などのエネルギー価格は世界的に高止まりしており、輸送コストや倉庫の運営費に直結してきます。

加えて人件費の上昇や最低賃金の引き上げもコスト増加の要因です。さらに環境問題への対策として電動トラック導入や設備の省エネ化が求められ、初期投資の負担が重くなります。

こうしたコスト増を吸収できない場合、小売価格への反映やサービス縮小を余儀なくされ、競争力の低下につながる恐れがあります。

消費者ニーズの多様化

ここ最近、早い、安い、便利に加え、環境にやさしく、パーソナライズされたサービスのニーズが増えています。

即日配送や時間指定といったサービスは当たり前になり、小口で多頻度の配送が増加しました。その一方で在庫管理や配送ルートが複雑化し、コストや人手不足と直結する問題を引き起こしています。

また、サステナブル消費や地産地消といった新しい取り組みや価値観も広がり、流通の仕組みにも柔軟な対応が求められています。

課題解決のための取り組み

デジタル化と自動化

AIIoTを活用したデジタル化が課題解決のための大きな手段となっています。

無人の搬送車やピッキングロボットの導入が進められている倉庫もあり、作業の効率と精度が向上しています。大手EC企業ではAIによる需要予測も行われています。

また、小売店舗ではセルフレジやスマホ決済の導入が進み、人手を削減しながら消費者の買い物をよりスムーズにすることができています。無人店舗の実証実験も行われており、省人化と利便性の両立が可能になりつつあります。

サプライチェーンの効率化

サプライチェーン全体の効率化は今後の流通業界において大切です。

最近取り組みが増えてきた企業間での共同配送は、トラックの積載効率を高め、CO2排出量の削減にもつながります。

また、メーカー・卸売業者・小売企業が在庫情報などを共有することによって余剰在庫や欠品を防ぎ、商品の安定供給につながります。

さらに今後はブロックチェーン技術を利用したトレーサビリティの確保にも注目が集まっており、最新の技術との掛け合わせでより最適化が進んでいきます。

働き方改革と人材確保

人手不足を解消するために、新しい働き方の導入が不可欠です。

例えば、短時間勤務や柔軟なシフト制、リモートワークなど従来のフルタイムの働き方から脱却する動きも広まってきています。

教育の充実、キャリアパスの明確化など、長期的な人材育成の取り組みも増えており、働きやすい環境を整えることで人材確保だけでなくサービス品質の維持にもつながります。

流通の進化と最新トレンド

EC・オンライン流通

EC市場は年々拡大しており、なんでも扱う大手ECから専門分野に特化したD2Cブランドまで幅広いECが開設されています。

特にコロナ禍をきっかけとして、オンライン購入は日常の買い物へ変化し、リアル店舗とECを融合させたオムニチャネル戦略が各業界で推し進められています。

例えば、ネットで注文した商品を店舗で受け取るクリック&コレクト、BOPISやアプリを通じたパーソナライズされたクーポンの配信など、消費者の生活はますます便利になります。

流通とAI・DX

AIは、需要予測や在庫管理、配送ルートの最適化に加え、顧客対応にも活用されています。

チャットボットによりお問い合わせの24時間対応、購買履歴を元にしたパーソナライズ提案はカスタマーエクスペリエンスの向上につながります。

また、DXによるデータ活用は流通の提供できる価値をさらに向上させることができ、データドリブンなサービスへと変化しつつあります。

サステナブル流通

環境負荷の軽減を行うためにサステナブル流通を推進し、実際にCO2排出量を削減できる電気トラックの導入や、再生可能エネルギー設備が設置された倉庫を建設するなどの取り組みが行われています。

また、プラスチック包装の削減やリサイクル資材の活用などサステナブルな物流モデルも広がりをみせています。

消費者にとっても環境配慮型物流を選ぶことは購買意識の一部になりつつあり、企業の取り組みがブランド価値を左右する時代にも突入しています。

最近ではGX(グリーントランスフォーメーション)にも注目が集まっており、競争戦略の核心に位置付けている企業も数なくありません。

まとめ

流通とは?基本的な機能から課題・最新トレンドまでを徹底解説

流通とは、商品やサービスが生産者から消費者へと移動していく一連の過程のことです。ただ単にモノを運ぶことだけではなく、売買・情報・お金など多様なやり取りが含まれています。

流通には大きく、取引機能・物的機能・金融機能・情報伝達機能の4つの機能があります。流通のおかげで私たちの暮らしは便利になりましたが、人手不足と高齢化・コスト上昇・消費者ニーズの多様化といった課題もあります。最近は、EC・オンライン流通、流通とAIDX、サステナブル流通がトレンドです。

キーワード

  • 流通
  • EC
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