お役立ち情報|中部流通株式会社

Z世代とは?Z世代の消費行動と小売業の変化を解説します

作成者: 中部流通|2025.05.16

ここ数年「Z世代」という言葉を多くの場面で聞くようになりました。実際にビジネスやマーケティングにおいて、いまZ世代は非常に注目されています。

マーケットを成長させていくためにも、Z世代に向けたマーケティング活動はすでに必要不可欠となっています。

この記事では、Z世代とは何なのか意味や注目されている理由から、Z世代の消費行動やそれに合わせた小売業の変化といったマーケットがどのような状況になっているかというポイントまで、詳しく簡単に解説していきます。

そもそもZ世代とは

Z世代とは、1997年から2012年に誕生した世代のことです。年齢は13歳から28歳で、デジタルネイティブ・スマホネイティブ、SNS世代とも呼ばれています。

他の世代もZ世代のような呼び方があります。

1947年から1949年に生まれた世代は団塊の世代、1955年から1964年に生まれた世代はバブル世代というのはよく聞くと思います。また、Z世代の一つ前の世代は1981年から1996年生まれのミレニアル世代、Z世代の後の世代は2013年以降生まれでα世代と呼ばれています。

このようにZ世代のみが特別に区分分けされているわけではなく、各世代で区別されているのです。

世代分けがされるのは、共通の価値観や背景を持つグループとして扱うことによってマーケティングや社会現象を研究・分析しやすくするためです。

※定義は国や機関によって異なります。

なぜZ世代が注目されているのか

経済への影響力が拡大している

現在、Z世代は社会人として消費活動を本格的に行える年齢になっていて、所得をもつ層として急速に成長をしています。

今後10から20年のうちに最大の消費者層になるという見込みがあり、将来を見据えたマーケティングではとても重要な世代になってきています。

一人暮らしや初任給の獲得などの影響で、生活必需品・家電・食料品・ファッションなど幅広い消費活動が特徴的です。

また、自分の価値観に合ったものにお金を使う傾向があり、単価が高くても価値観に合えば購入する意欲が高くなっています。

価値観と行動の多様性時代

Z世代は特に社会的課題への関心が高く、正しいことや行動の意味を重視する傾向があります。

最近でも話題になったLGBTQやサステナビリティ、ジェンダーフリーなど存在意義や何かの役に立つテーマに対してアンテナが張られています。

SDGsや労働環境など企業の姿勢にも敏感で、そういったテーマに貢献している企業かどうかも買い物の際の判断材料になります。

これまでの大量消費と異なる消費スタイル・価値観が、企業にとってはブランドやビジネスモデルを見直すきっかけとなっています。

デジタルネイティブであるから

Z世代は物心がついた時からスマホやSNSがある環境で育っているため、以前の世代と比べて情報収集・発信・消費の全てをデジタルで完結させることはごく当たり前の流れになります。

商品を購入する前にInstagramTikTokなどでレビュー・口コミを調べ、購入後は自分のレビューや紹介動画を投稿することも珍しくありません。

「バズる」という言葉もよく使われますが、SNSでバズるとリアル店舗に人が殺到し、商品が品切れするというケースもあります。

他世代と比べて情報の発信力・拡散力が高く、口コミやトレンドの起点となることが多いため、Z世代にバズると商品が売れるという構図も無視できなくなっています。

Z世代の消費行動

価値観・体験を重視する

Z世代は「なぜそれを購入するのか」、「それの購入を通してどのような体験を得られるか」ということを重視します。モノ消費からコト消費へのシフトが起こっています。

背景としては、SNSの普及により、買ったものをどう活用したか、どんなライフスタイルに合っているのかなど、体験をシェアする傾向が強いという状況があります。

環境問題や社会問題に敏感で、自分が貢献できる、共感できる価値観を持つブランドが好まれます。

SNS活用

Z世代にとって、SNSは情報収集やトレンドの把握、購買の動機づけなどを行う重要なツールです。検索エンジンよりもInstagramTikTokなどのSNSで、自分の価値観に合った商品やサービスを探すことが主流です。

企業から直接発信されている情報や広告よりも、インフルエンサーや一般ユーザーのより身近でリアルなレビュー・口コミを重視します。

SNSでバズると商品・サービスは爆売れする傾向にあり、いつどのようなきっかけでバズるかはなかなか予測が難しくなっています。

パーソナライズされた情報・提案を好む

自分に合っている、自分のために提案された商品やサービスに価値を感じるという傾向もあります。「自分らしさ」の尊重がベースにあるためです。

スマホでSNSを開けば常に大量の情報に囲まれているため、自分にとって意味のある情報が好まれます。

デジタル技術の発達により、企業側もよりパーソナライズされた情報を発信しやすくなっているため、実際にさまざまなサービスでパーソナライズされた情報を受け取れるようになっています。

Z世代に合わせた小売業の変化

D2Cブランド

D2Cとはメーカーやブランドが中間業者を通さず、ECなどを中心にユーザーと直接繋がりを持って商品やサービスを販売するビジネスモデルです。

ECを簡単に開設できるようになったいま、従来販売機能を持っていなかった企業でも自社で販売を行うハードルがかなり下がりました。加えてZ世代はデジタルネイティブのため、ECで買い物する機会も多くなっています。

企業が公式InstagramTikTokでブランドの世界観、商品の制作プロセス、スタッフの思いなどを発信することも多く、ウェブでのつながりが強まっているのも特徴的です。

OMOの加速

OMOとは、ECやアプリなどオンラインにある消費活動を行う場所とオフラインのリアル店舗の垣根をなくし、カスタマーエクスペリエンスを向上させることを意味します。

オンラインで情報を入手し、オフラインで試す、買う、体験するといった傾向も強くなっています。

例えば、スマホで商品の在庫を調べお店に買いに行く、あらかじめ商品を注文しておきお店で受け取るといったようにオンラインとオフラインの両方を活用した買い物は、いまや当たり前です。

環境配慮・SDGs対応

Z世代は企業の社会課題に対する姿勢によって商品・サービスを購入するか決める傾向もあるため、エコやサステナビリティ、社会貢献などの取り組みが売上につながります。

自分のお金を使うことに自分の価値観を反映させる側面が強く、地球温暖化、プラスチックの問題などへの関心が高いです。

商品パッケージに環境配慮のマークを記載したり、古着回収ボックスの設置などサステナブルな取り組みも増えています。

Z世代向けマーケティングの事例

食品スーパー

成城石井は、プライベートブランド商品をSNS映えや時短といったZ世代に人気のコンセプトで開発したり、TiktokInstagramでバイヤーおすすめ商品の動画を投稿しています。特にスイーツやエスニック惣菜が人気で、SNSきっかけの来店や購入が増えています。

大手小売企業のイオンでは、セルフレジ、スマホを使った買い物システム、デジタルクーポン連動などデジタル活用を強化しています。他にも映えるフードコートや量り売りオーガニック食品コーナーを設けるなどの取り組みも行われています。

ライフでは、YouTubeTikTok1週間食費1,000円チャレンジなどZ世代むけに独自のコンテンツを発信しています。また、YouTuberとコラボをしてプライベートブランド商品の宣伝も行っています。

ドラッグストア

マツモトキヨシでは、Z世代に人気な韓国コスメ、カラフルなパッケージの商品を多く展開しています。また、InstagramなどSNSにおいてプチプラコスメとして人気のあるコスメ商品が多くあります。

ココカラファインは、Z世代に人気の高い健康志向に合わせ、ビタミンサプリやオーガニックアイテムなどを積極的に販売しています。コスメだけでなく生活改善につながる提案となる情報発信に力を入れています。

ホームセンター

カインズは、工具の使い方を学べるワークショップを開催して店舗でできる買い物以外の体験に力を入れています。InstagramYouTubeでは初心者でもできるDIY動画など初心者にも優しいコンテンツを配信しています。

ロイヤルホームセンターは、Z世代に人気の観葉植物やベランダガーデニングなどを強化し、グリーン・サステナブルな売場に力を入れています。Z世代向けの売場作りにも注力することで、若年層の女性やカップルの来店が増加しています。

このように、様々な企業がZ世代に向けて、新しい価値観・販売スタイルの提供をはじめています。今後の市場で成長していくためには、消費者とともにブランドを一緒に育てていくという考え方も欠かせません。