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地域で育て、地域で食べる。ローカルフードが変える食の世界

作成者: 中部流通|2025.08.08

近年、ローカルフードが注目を集めいています。

ローカルフードはただの地産地消にとどまらず、環境負荷の軽減や地域経済の活性化など幅広い効果をもたらします。

この記事では、ローカルフードの基本やメリット、事例など具体的な取り組みを交えながらローカルフードについて詳しく解説します。

ローカルフードとは?

ローカルフードとは、地域で生産された食材をその地域で消費する食のスタイルのことを言います。農産物や水産物だけでなく、その地域で製造された加工食品もローカルフードに含まれます。

地域の食材を使うことによって、地域資源の活用や鮮度の高い食材の提供につながります。また、地域内でのコミュニティの広がりや地域の活性化を図ることも可能です。

ローカルフードが注目される背景

ローカルフードが注目される背景には、気候変動や輸送コストの上昇、食料自給率低下といった問題があります。加えて、食の安全や生産者とのつながりを消費者が重視するという傾向も強まっています。

こうした背景によって、持続可能で地域に根ざしたローカルフードが注目されています。

日本には郷土料理と呼ばれるその地域特有のローカルフードも昔から存在します。地域の特色を活かした料理は、実は昔から大切にされてきているのです。

フードマイレージと環境負荷の関係

フードマイレージとは、食品の輸送距離と重量を合わせた指標のことです。輸送距離が長ければ長いほどCO2排出量は増えます。

ローカルフードは地域の食材をその地域内で使用するため輸送距離が短くなり、輸送時のエネルギー消費と温室効果ガスの排出を抑えることができます。

ローカルフードが構築するショートサプライチェーン(短いサプライチェーン)は、環境に対しても有効と言えるのではないでしょうか。

ローカルフードのメリット

環境に対するメリット

ローカルフードの最大の環境に対するメリットは、輸送距離短縮によるCO2削減です。

食材を遠くから仕入れる、遠くへ販売する場合、そのサプライチェーンの中で多くの燃料が使用されます。輸送距離が短くなるほど温室効果ガスの排出量は減り、地球温暖化の抑制につながります。

また、地域内で生産された食材をすぐに使用することで、鮮度の低下を防ぎ、廃棄やフードロス削減にも貢献することができます。

昔からその地域で育てられてきた農産物はその地域に馴染んでいて、農薬や化学肥料の使用を抑えることもできるため、種の保存や農法の継承にもつながります。 

経済的なメリット

ローカルフードは経済的なメリットももたらします。

生産者と消費者がつながることで中間コストを削減することができ、生産者の利益が増え、消費者もリーズナブルに購入することができます。地域の経済が循環することで、農業従事者や関連産業の収入が増加し、地域経済の活性化につながるのです。

さらに、ローカルフードには地域ならではのストーリー性が込められていて、付加価値として価格だけではない価格競争からの脱却にもつながります。

ローカルフードは新たな地域ブランディングの可能性も秘めていて、食文化の継承にも寄与します。

成功のためのポイント

生産者のストーリーを伝える

ローカルフードを成功させるためには、生産者の顔が見えることが大切です。単に地元産というだけでは差別化が難しく、消費者に価値が伝わり難くなる可能性があります。

そのため生産者の顔や背景、思いを伝えることで商品に付加価値が生まれ、ストーリーが食材そのものの品質だけでなく人とのつながりや安心感を生みます。

SNSYouTube、店頭POPWebサイトなど効果的な伝え方は多岐にわたります。こうしたネットの活用は、ローカルフードであっても全国へ情報を発信できる手段であり、食の背景を伝えるためにかなり有効的です。

デジタル化で販売・配送を効率化

業務のデジタル化もローカルフードビジネスを成功させるためには重要なポイントです。

例えば、ECサイトを開設することにより電話やFAXによる手作業の注文を減らし、販路の拡大もすることができます。

最近はデジタル化ツールを手軽に導入できるサービスが増えていて、出荷可能な商品のリアルタイム表示や、注文があったタイミングでピッキングリストが自動生成されるなど便利なシステムを利用できます。

また、個人向けのクール便サービスも普及しており、低コストで新鮮な食材を配送できる仕組みも整えられています。

地域ネットワークの構築と自治体連携

地域全体での仕組みづくりも大切です。

地元の飲食店や観光業者、自治体、商工会などが連携することでより効果的なブランディング、販路拡大を行うことができます。

実際に多くの地域で地産地消プロジェクトなどが展開されていて、農家、学校、病院、飲食店を繋ぎ、地域全体でローカルフードを推している事例もあります。

他にも、自治体の補助金・支援金制度の活用、地元メディアやふるさと納税との連携を行うことによって発信力を強めることができます。

実際のビジネスモデル事例

地域密着型EC

生産者直送型のECサイトはローカルフードビジネスの中でも急速に成長している分野になります。

今までは、農産物を消費者に届けるには卸売や市場を経由して小売店などで購入することが一般的でしたが、ECサイトを活用することによって農家と消費者が直接つながる仕組みづくりをすることができます。

ECサイトのメリットとして、農家が適正価格で農産物を販売できること、消費者が新鮮で安心安全な食材を受け取れることがあげられます。また、ECサイトを利用して、普段は購入できない地域の食材を購入することも可能です。

レストランとの直契約

地元で採れた食材を地元のレストランやカフェが直接仕入れるという流れも増えてきています。

生産者にとっては安定した販路の確保、飲食店にとってはメニューの差別化や安心感の向上につながるというメリットがあります。

ここ最近は食品のトレーサビリティ性を高めたいという意識も強く、地元食材を使用したメニューはブランディング向上のための強力な商品になります。

都市部でもこのような動きは強化されており、産地の農家と契約することによってこだわりの食材を使ったメニューや、季節ごとに内容が変わる旬のメニューの提供が人気です。

観光融合型(アグリツーリズム)

アグリツーリズムとは、農業と観光を融合させたローカルフードの価値を体験として提供する観光です。

例えば、消費者が農場を訪れ収穫を体験したり、採れた食材を使って料理をして生産者や食材のことを深く知ることを目的としています。

農業をして一日暮らすような宿泊・食・体験がセットになったアグリツーリズムなど人気を博しています。

ローカルフードの今後

消費者の地元志向とサステナブル志向の高まり

ここ最近、食材の産地を重視する傾向がより一層高まっています。

価格重視の大量生産・大量流通によって生活が便利になる一方で、その裏では食品ロス、環境負荷、労働問題などが問題視されています。

地元の食材に目を向けることで、新鮮で安全安心な食材を食べたい、地域を応援したい、食品ロスを減らしたいという意識を行動として実現することができます。

今後はさらに地元志向・サステナブル志向が強まっていき、ローカルフードの人気も高まっていくのではないでしょうか。

冷蔵・冷凍物流の進化による鮮度維持の改善

ローカルフードはその地域内のみならず、鮮度の良い状態で都市部や遠方に届けられるようになるとさらにビジネスチャンスが広がります。

鮮度を保つためには冷蔵・冷凍技術がとても大切で、温湿度のリアルタム監視・制御やパッケージの機能向上など、冷蔵・冷凍技術は進化を続けています。

このような物流の進化により、その地域で作られたローカルフードを全国に配送できるというフェーズへの移行に期待がかかっているのです。

食品のカーボンフットプリント表示義務化の流れ

カーボンフットプリントとは、商品の製造から廃棄に至るまでに排出されたCO2量を可視化する仕組みのことです。消費者がCO2の排出量を確認できることにより、環境に配慮した商品を選びやすくなります。

カーボンフットプリントを義務化、促進する動きは世界各国で強まっており、今後日本でもこの流れが進めば、輸送距離や生産方法がシンプルでCO2排出量の少ないローカルフードは評価が高くなる可能性があります。

ローカルフードは単なる地産地消ではなく、環境にやさしく人のつながりを広げ、地域経済を活性化させることのできる食品なのです。