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エクスペリエンスの潮流!体験やつながりがファンを生む時代に重視すべき「見える・感じるモノづくり・販売」

作成者: 中部流通|2025.10.17

近年、消費行動の価値観はただ「買う」だけでなく、「体験を楽しむ」へと変化しています。

モノづくりや厨房の現場をオープンにし、体で感じるエクスペリエンスを提供する企業が注目も人気も集めています。

この記事では、モノづくりや販売の現場で進んでいる「見える・感じる」取り組みや、その時代背景、効果などについてご紹介します。

なぜエクスペリエンス(体験)が重視されるのか

そもそもエクスペリエンスとは?

エクスペリエンス(Experience)とは、直訳で「体験」を意味します。

マーケティングにおいては、商品やサービスを通じて得られる感情的な価値観や、ブランドと消費者のタッチポイントから生まれる体験全般のことを指します。

モノやサービスの機能や価格だけでなく、そのモノやサービスを通じてどんな体験をしたのか、何を感じたのかが重視されるようになっています。

エクスペリエンスが重視される理由

エクスペリエンスが注目される理由の一つは、消費の多様化です。

似た商品があふれるなか、どこで買うか、誰から買うか、あえてそれを買う理由という体験の違いが消費行動の選択を左右します。

また、情報過多になりがちなこの時代において、体験は記憶に残る価値を生み出します。SNSで共有されるリアルな体験は、メディアで流れる広告よりもより強く心に残ります。

こうした変化が、企業や店舗に“体験をデザインする力”を求める大きなきっかけになっています。

広がるエクスペリエンスマーケティングの潮流

エクスペリエンスを重視する流れは、日本だけでなく世界規模で大きな潮流となっています。

海外ではエクスペリエンスマーケティングという言葉が一般化し、ブランドの発信も顧客が感じる体験に焦点を当てたプロモーションが増えています。

例えば、アパレルブランドのポップアップストアでは、商品を購入する前にブランドの世界観を体験できることが重視されています。

日本国内では飲料メーカーの工場がテイスティング体験を組み合わせたり、化粧品メーカーが香りや質感を五感で試せるイベントを開催するといった取り組みが活発です。

また、SNSでは消費者自身が体験を発信することができるため、企業が一方的に伝えるのではなく、体験した人の声や現場の空気感がそのままブランドの価値を形成していきます。

この流れは今後も加速し続け、あらゆる業界でエクスペリエンスが重要なマーケティングの要素になると考えられています。

どのような取り組みがあるの?

モノづくりを体験するオープンファクトリー

製造業の分野では、工場を一般に開放するオープンファクトリーの取り組みが広がっています。

オープンファクトリーとは、工場見学だけでなく、工場に来た人が実際にモノづくりを体験できるワークショップ型の取り組みも含みます。

実際に、金属加工の職人が磨きや仕上げの工程を公開して来場者がその加工を体験できるイベントが開催されていたり、染色や陶芸といった伝統工芸の体験を通じて手仕事を体験するという取り組みが行われています。

このようなオープンファクトリーは、製品そのものの魅力はもちろん、モノづくりの姿勢や地域の文化を感じることができる場として人気があります。

スーパーや飲食店でも進む見える化

私たちにより身近なお店でも見せる取り組みが進んでいます。

スーパーマーケットの惣菜売場やパン売場ではガラス越しに調理の様子が見えるスタイルが定着しています。最近では生鮮食品の売場でも、バックヤードが見えるタイプのお店も増えています。

また、飲食店ではオープンキッチンを採用する店舗が増え、調理の一部始終をお客様が見ることができるようになっています。

ライブキッチンとして調理から見れることにより、単なる食事ではなく、一連の流れとして食事体験を楽しむことができるのです。

感じる体験でブランド強化

コーヒーやチョコレートの専門店などでは、製造と販売を一体化した店舗が増えています。

見えるのみならず、製造する時の音や香りも体感することができ、商品ができるまでの背景を五感で感じることができます。

こうした体験ができることにより、消費者に対してブランドのストーリーをダイレクトに伝えやすくなっています。また、SNSで共有されるブランドの動画や写真もブランドの信頼性アップとファン獲得につながります。

エクスペリエンスが生み出す3つの効果

消費者の安心を生む

製造や調理の過程を見せることによって、品質や安全性に対する信頼が向上します。

特に食品業界では、隠さないことで衛生さや透明性が格段に向上するため、あえて見せることで来店動機にもつながります。

どのような人がどのような環境で作っているのか、消費者が見えることで納得性が上がり、体験型のワークショップに参加したメーカーの商品だから買いたいというファンの獲得にも大いに期待できます。

ブランドの共感を育む

エクスペリエンスを通じて企業や職人の想いに関わることで、消費者は共感を覚えます。

ただ購入するということではなく、応援したいから購入する、また体験したいからまた訪れるという根強い行動へつながります。

こうした共感を大切にしていくことで、企業と消費者の長期的なつながりを生み出す大きな機会になることは間違いありません。

社員やスタッフの誇りを高める

お客様に見せることで働く人の意識も変わります。

見られているという意識から緊張感が高まり、仕事への責任感や自信につながります。さらに、お客様の反応を直接感じることができるため業務のやりがいも向上します。

エクスペリエンスは消費者とのつながり強化だけでなく、労働者のモチベーション向上や成長にも影響を及ぼすのです。

今後も広がる取り組み

デジタルとリアルの融合

技術の発達により、リアルとデジタルの境界が薄れています。

現在、オンライン工場見学やバーチャルキッチンツアーなど、デジタル空間でも体験を共有できる仕組みが増えてきています。

遠くて工場やお店に行けなかったりとその場に直接出向くことをしなくても、デジタルとリアルを組み合わせたハイブリッド体験がブランドの世界観を伝える新しい場を提供してくれます。

また、お店でもタブレットやARを利用することで製造工程などを紹介する取り組みも増えてきています。

地域と連携した体験づくり

地域との連携により、エクスペリエンスは様々な広がりを見せています。

オープンファクトリーを軸に置いたまち歩きイベントや、地元食材を使用した体験型マルシェなど、地域全体を体験の場としてデザインする動きが増えています。

このような取り組みは、企業が地域への信頼を築くチャンスであると共に、地域にとっては観光や交流の人口を増やすチャンスとなります。

エクスペリエンスを通して、企業・地域・住民がつながる循環が生まれるのです。

サステナビリティと社会課題の体感化

環境や社会問題への関心が強まるなか、サステナブルを体験する取り組みも広がっています。

リサイクル工場の見学や食品ロスの削減イベント、エシカル消費を知るワークショップなど、課題を体験する場が増えているのです。

企業にとっては単なる情報発信ではなく、消費者にサステナブルを体験してもらうことでビジョンを直接伝えることができます。

エクスペリエンスを通して環境や社会問題を自分の問題として捉えることができるようになる取り組みは今後も増えていくのではないでしょうか。