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マーチャンダイジング(MD)とは?DX推進やAIの登場で劇的に変化するMDを徹底解説

近年、流通業界においてマーチャンダイジング(MD)の在り方が大きく問われています。

売場づくりや商品計画と一言では語りきれないほどマーチャンダイジングを取り巻く環境は複雑化し、変化のスピードも加速しています。こうした状況の中で注目されるのは、DXやAIを活用した新しいマーチャンダイジングの形です。

この記事では、従来のMDを振り返りながら、なぜ今MDが変わる必要があるのか、そしてAIはMDをどのように進化させるのかを解説します。

なぜいま、マーチャンダイジングが変わるのか

消費者ニーズの変化と購買行動の複雑化

かつてのマーチャンダイジングは、一定の需要が安定していることを前提に設計されていました。しかし、現在の消費者は、価格・品質・健康・環境・利便性など、複数の判断基準を持って買い物を行っています。

さらに、SNSやECの普及によって消費者はお店に来る前に情報収集を終え、購入候補をあらかじめ決めているケースも増えています。

売場での偶発的な購買は減り、来店前に商品やサービスが欲しいと思われるようなマーチャンダイジングが求められるようになりました。

こうした変化は、これまでの経験則に依存したマーチャンダイジングでは対応しきれない状況を生み出しています。

人手不足とマーチャンダイジングの属人化

流通業界全体で人手不足が深刻化する中、マーチャンダイジングで特に問題となっているのが、MDノウハウの属人化です。

ベテラン担当者の判断に依存した商品計画や棚割は成果を出せる場合もありますが、再現性が高いとは言えません。担当者の異動や退職によってノウハウが失われ、組織としてMD力が蓄積されないという可能性も考えられます。

人材不足が進むほど、人に頼らずに回るマーチャンダイジングの仕組みが求められるようになっています。

欠品と過剰在庫が同時に起きる構造的問題

現在、多くの小売現場でありがちなのが、売れてほしい商品は欠品してしまい、売れない商品が在庫として残るという状態です。

需要変動が激しいにもかかわらず、MD計画は固定的なまま運用されてしまうと、修正のタイミングが遅れてしまいます。その結果、欠品と過剰在庫が同時に発生します。

これは個別のミスというよりも、従来のマーチャンダイジングが抱える構造的な課題だと言えるでしょう。

従来のマーチャンダイジング

マーケティング会議で発表を行う社員

マーチャンダイジングの基本的な役割

マーチャンダイジングとは、何を・どれだけ・いくらで・どのように売るかなどを決定し、戦略的に販売活動を行うことです。日本語にすると商品化計画を意味します。

マーチャンダイジングを適切に行うことによって、効果的な商品作りが実現し、売上と利益を最大化することにつながります。

流通業においてマーチャンダイジングは、事業を支える大切なマーケティングの一つです。

従来型マーチャンダイジングの特徴

従来のマーチャンダイジングは、マーケティングを行う人の経験や考え方を中心に成り立ってきました。過去の販売実績を参考にしたり、担当者の体験をもとに商品構成や数量が決められるケースが多くあります。

例えば、「このカテゴリーは毎年このSKUが動く」「この商品は少し多めに積んでおいたほうがいい」といった判断は、データよりも人の記憶や感覚に基づいて行われることが多かったのではないでしょうか。

このようなMDは、市場環境が安定しており、商品ライフサイクルも長かった時代には有効でした。実際、ベテラン担当者の経験が業績を支えてきた企業も少なくありません。

一方、このやり方は見える化されていない部分に依存するため、ノウハウが言語化・共有されにくく、属人化しやすいという特徴も持っていました。

従来のマーチャンダイジングが抱える限界

こうした従来型マーチャンダイジングの最大の課題は、変化への対応力が低い点にあります。消費者ニーズが急速に変わる現在、過去実績だけを頼りにした判断ではズレが生じやすくなっています。

また、判断基準が担当者ごとに異なると、同じカテゴリーであっても成果にばらつきが出やすく、組織としてマーチャンダイズが安定しません。


さらに、ベテラン人材に業務が集中し、若手が育ちにくいという問題も生まれています。結果として、欠品が発生してチャンスロスになる、売れ残り在庫が増えて値引きや廃棄が増加するといった状況が発生します。

従来のマーチャンダイズが通用しにくい状況になってきているのではないでしょうか。

これからのマーチャンダイジングはDX・AIが必須

マーチャンダイジングの目的は、これまでと変わりません。ただし、その目的を実現するための前提条件と手段は、大きく変わりつつあります。

消費者行動の変化が早くて需要の幅も大きい現在では、従来の判断基準を続けることは難しくなっています。迅速に対応していくためには、データを前提とした意思決定と、それを支えるDXが欠かせません。

さらに、修正のスピードと精度を高めていく上で、AIの活用が重要です。需要予測や売場設計、価格と在庫の調整といった領域では、人の判断を補完して再現性を高める手段としてAIが活用され始めています。

AIがマーチャンダイジングをどう進化させるのか

需要予測AIによるSKU・数量最適化

AI活用の中でも、マーチャンダイジングへの影響が最も大きいのが需要予測です。

需要予測AIは、過去の販売実績だけでなく、曜日、天候、販促、価格変更といった複数の要因しから需要を予測します。

これにより、「前年実績をもとに調整する」といった従来の方法に比べ、より精度の高い計画が可能になります。売れ筋商品の欠品を防ぎつつ、動きの鈍い商品の仕入を抑えることで、欠品と過剰在庫が同時に発生する状況を改善しやすくなります。

需要予測AIは、マーチャンダイズにおける判断を置き換えるものではなく、判断の前提となる材料を高い精度で提供する役割を担います。

売場・棚割のAI最適化

AIは数量だけでなく、売場や棚割の最適化にも活用されています。

売上データや在庫データをもとに、フェイス数や配置の妥当性を分析し、売れる商品がより目立つ形で展開されているかを検証します。

これにより、経験則だけでは気づきにくい売場の歪みや商品の滞留を早期に把握することができます。結果として売場全体の効率が高まり、店舗ごとのばらつきも抑えやすくなります。

売場づくりにAIを活用することで、属人的になりがちな棚割業務の再現性が高まっていきます。

価格・在庫・マーチャンダイジングの連動

AIの活用は、価格と在庫、マーチャンダイジングを連動させる点でも効果を発揮します。

在庫量や需要予測をもとに価格調整や売場変更のタイミングを判断することで、値引きや廃棄に頼らない在庫消化が可能になります。

従来は、在庫過多になってから値引きを行うケースが多く見られましたが、AIを活用することで早い段階から売り切るためのマーチャンダイズ施策を打つことができます。

これにより、利益を確保しながら在庫をコントロールしやすくなります。

これからのマーチャンダイジングのポイント

AIと人の役割分担

AIの活用が進む中で重要になるのが、何をAIに任せ、何を人が担うのかという役割分担です。

需要予測や数量計算、売場や価格の最適化といった領域では、AIは高い精度とスピードを発揮します。一方、カテゴリーの方向性や売場コンセプトの設計や、新たな仮説を立てる役割は、人にしか担えません。

これからのマーチャンダイジングでは、AIを判断の代替ではなく、判断を支えるパートナーとして位置づけることが重要になります。AIと人がそれぞれの強みを活かすことで、マーチャンダイジングの質は大きく向上します。

部分最適ではなく全体最適のマーチャンダイジング

従来のマーチャンダイジングでは、SKU単体や商品別に判断が行われる場面も多く見られました。

しかしこれからは、カテゴリー全体、売場全体、さらには在庫や価格まで含めた全体最適の視点が欠かせません。一部の商品が売れていても、売場全体として効率が悪ければ、マーチャンダイジングとしての成果は限定的になります。

DXやAIを活用することで複数の要素を横断的に捉え、全体として最も効果的な判断を行いやすくなります。

マーチャンダイジングは仕組みで差がつく時代

これからのマーチャンダイジングは、個人の力量や経験だけで差がつく時代ではありません。

どのようなデータを使い、どのような判断プロセスでマーチャンダイジングを回しているか、その仕組みそのものが競争力になります。

DXやAIは目的ではなく、持続的に成果を出すマーチャンダイジングを実現するための手段です。人に依存しすぎない再現性のある体制を構築できるかどうかが、今後の流通業界における重要な分かれ目となっていくでしょう。

まとめ

マーチャンダイジング(MD)とは?DX推進やAIの登場で劇的に変化するMDを徹底解説

マーチャンダイジングはいま、DX・AIを活用した仕組みへと進化しています。

マーチャンダイジングはこれまで、経験や過去実績をもとに磨かれてきました。しかし、消費者行動の変化や人手不足、需要変動が常態化するいま、従来のやり方だけでは対応が難しくなっています。

DXによってデータを横断的に活用できるようになり、さらにAIが需要予測や売場設計、価格と在庫の調整を支援することで、マーチャンダイジングはより精度と再現性の高い仕組みへと進化しています。

これからのマーチャンダイジングでは、DXとAIを前提に、作業ではなく設計として捉え直すことが流通業の競争力を左右していくでしょう。